ゲームブック「妖華繚乱」について
ゲームブックをご存じですか?
まだコンピューターがほとんどの人にとって未知の物体だった時代、本屋さんにちょっと変わった本が並んだ時期がありました。確か「ゲームブック」と呼ばれたその本は、小説というより青少年向けの今で言うライトノベルのようなものでしたが、ところどころで読者が選択肢を選び指定されたページへめくり飛ばしていくというもので、テキストRPGを紙の本で実現したものでした。ですが、マルチエンディングにするにはページがかさばるためか、一つ一つの中味がどうしても薄っぺらいものになってしまったようですぐに廃れてしまいました。パソコンの当たり前の今となってはもちろん絵も音もあるゲームにすればいいから、誰もゲームブックなんか作らないでしょうが、音も絵もないテキストだけのゲームブックスタイルの小説というのは、絵や音の制約に縛られたRPGとはまた違った面白さがあるのではないかと私は思います。
執筆のきっかけ
この作品はある日私宛に届いた読者さんからのメールによる依頼がきっかけで書いたものです。当初のお話ではゲームノベルという形で絵や音が付けられてゲームノベルとして制作し販売したいということだったのですが、何しろ私自身そういうゲームノベルのことなどまるっきり知らない状態で書いたものですから、商品化に何か問題があったたのか、その後このプロジェクトは立ち消えになったようです。謝礼が初めてもらえるとちょっと期待していただけに少しがっかりしたものの、長い期間に渡る開発ですからよほど気心の知れた仲間同士でないとプロジェクトが空中分解しやすいということでしょう。とにかく、折角書いたものが日の目を見ないというのは非常に淋しいので、一部手直しを加え、いにしえのゲームブックスタイルのpdf電子本として仕立て直すことにしました。
作品世界
時代は大正末期。関東大震災の直前。大正デモクラシーの花開いた経済発展と軍事的成功で結構景気のいい時代だったようです。
そして場所は大阪。ここには江戸時代からの伝統を引き継いだ飛田新地という赤線地帯がありました。この近くにある廓とそこで働く女郎達がこの物語の世界を作ります。
この物語に登場する遊郭はそんじょそこらの廓ではありません。少しばかり人里から離れた森の中の広大な屋敷のような廓です。現代で言えば、超高級ソープというところですな。場所は少しばかり大阪湾に近づいたところ。何しろ伝統と格式のある遊郭なもんで、一見さんが入れるようなところではありません。
ところがここに、ひょんなことから命からがらここに迷い込んだ男がおりました。で、どういうわけか、この男、この遊郭で歓迎され、匿われることとなりました。
その男の名は鉄五郎。但し名前以外自分のことは全然覚えていません。
あなたはこの鉄五郎になってもらいここからの彼の人生を切り開いてもらいます。
さあ、鉄五郎は記憶を取り戻せるのか。ハッピーエンドにたどり着けるのか。すべてはあなたの選択次第です。
ご健闘をおいのりします。
なお、大阪には半年とちょっとしか住んだ経験しか無いクセに無理矢理関西弁を書いてしまったもので、そのあたりは暖かい目で見てやって下さい。反面、関西に無縁の方でもたぶん意味が分からないということは無いと思います。
なお、私の作品ですのでSMシーンは一部のシナリオをのぞき、当然満載です。予めご了承下さい。 |